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STANFORD GSB留学記
西海岸のエスタブリッシュメントの中で過ごし得る知見や身の回りで起こる出来事を読者と共有していきたい。授業内容、クラブ活動、シリコンバレーのコミュニティー、等盛り沢山の内容を掲載します。
クリーンテック革命
クリーン・エネルギーのコンサル企業である Clean Edgeが2007年に出版したThe Clean Tech Revolutionが日本のVCの方々により訳されて今年の始めに出版された。

クリーンテックを幅広く、且つ深く語っているとの観点では、この本に勝る本は無いと思う。特にクリーンテックで起業を考えている人へのメッセージ、クリーンテックに投資しようとしている人に対するアドバイス、アメリカでのVC業界の動向などが満載であり、非常に分かりやすく纏まっている。


クリーンテック革命クリーンテック革命
(2008/05/17)
ロン・パーニッククリント・ワイルダー

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ビジネススクール在学中にクリーンテック関連のプロジェクトを仕上げた際に多くの情報を集めたが、Clean Edgeからの情報も非常に頼りになった。

クリーンテック関連の方には役立つ情報だと思う
--> Clean Energy Trend 2008

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変人力
優秀な社員を駄目にしてしまう会社は少なくないと思う。

会社組織の中に埋もれて、本来あるべき目標を経営者や管理職の人達が失ってしまう、もしくは意図的にプライオリティーを下げて自らのポジションを守ろうとしてしまうのが原因だと思う。”事なかれ主義”とか”フリーライダー”とかが典型的な駄目な例だと思う。しかしながら、それでも組織が機能している場合がある。守られているからである。

久しぶりに良い本に出会えた気がする。HBSからBCGに移り外資系IT企業を数社経験した後にダイエー社長に就任した樋口氏の本だ。過去の栄光に囚われ本質的な事を変えようとしない組織に飛び込み、泥臭い業務を遂行して自ら設定したゴールを達成させた。組織力、戦略力、変人力の3本柱で多々経験した苦労やブレークスルーを紹介する。コンサル経験者ならではの鋭い洞察力と、現場主義から派生する数々の問題や解決策は、外部環境が急速に変化して取り残されがちな組織・会社に勤めている人たちには非常に参考になるエッセンスが詰まっている。

ビジネススクールの組織論(Organization Behavior)や人的資源管理論(Human Resources)でのケースでも学んだが、”社内環境”を変化させる事は簡単ではない。特に過去に成功している人達が多い組織では新しいことを行うことへのインセンティブがマイナスに働き、外部環境が急激に変化するマーケットでは取り残される。社内の評価制度等が短期的な指標中心であれば尚更である。

変人力―人と組織を動かす次世代型リーダーの条件変人力―人と組織を動かす次世代型リーダーの条件
(2007/12/07)
樋口 泰行

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つい最近、日本の若者を対象に行ったアンケートにおいて顕著となっている ”尊敬する大人が居ない”とか”見習いたい大人が居ない”との日本の社会現象は、変革を恐れる人達に問題があるのかと思う。自分も含めて今後日本社会を背負っていく世代にとっては、毎日ルールが変わるビジネス環境にて戦略を構築することが求められると思う。昨日の常識が明日の非常識になる事も当然となる。そのような”非常”を確りと受け止め自らが設定するゴールに向けて日々精進したい。

経営者になる経営者を育てる
”日本企業は潜在成長力が十分あるのに、なぜ、それが生かせないのか?” これは他国に居る際に海外の方から質問されるのみならず、海外に長期滞在すると第三者的立場で日本人である自分が疑問に思うことである。

日本企業はヒト、モノ、カネの資産においては世界のどの国と比較しても劣らない。従業員の質、仕事効率、技術水準どれをとっても非常に高いレベルである。

となると日本企業の業績が低迷している原因はいずこに?


経営者になる 経営者を育てる経営者になる 経営者を育てる
(2005/06/10)
菅野 寛

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そのような疑問を解決すると共に、今後の日本の経営者のありかたや育て方をコンサルの視点より説いていく本である。ビジネススクールでは経営に色々と学ぶが、コンサルが書いた本を読むと枠組みが違ったり、分析が深いことに気づく。大企業が億単位のフィーを払ってでもコンサルの助けが欲しい理由が分からないでもない。
BUSINESS AND ITS ENVIRONMENT
昨日紹介したNonmarketingの授業で使っているテキストです。

Business And It\'s EnvironmentBusiness And It\'s Environment
(2005/08/17)
David P. Baron

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スタンフォード大学のDavid P. Baron教授が書いた本。

この本で取り扱う"Nonmarket Environment"とは社会・政治・規制等からなる環境を指し、通常のマーケティング戦略ではカバーされない団体や力が登場します。

一言で言えば、”経済的観点のみならず、政治的・法律的・倫理的観点を加えて企業の経営管理を強化していく為に必要な知識を習得でき、戦略構築能力を向上させる本”だと思います。

過去に起きたNonmarketing関連の事件を取り上げ、Nonmarketingが企業にとって如何に大切かを説く。逆に言えば、マーケティングにのみ力を注ぎ、Nonmarketing戦略を疎かにしたがために起こった事象を、金銭的な打撃や企業イメージの低下等の悲惨な結末をもって説明している。事例が数多く掲載されており、実際の企業名が出てきます。

数多くのフレームワーク、例えば、Issue Life Cycle, Media Theory, Wilson-Lowi Matrix, Distributive Politics Spread sheet等を使い、Contextを細分化しつつ、Market外にて企業に影響を与える団体や力を分析します。

この本の更に良いところは、数多くの実際に起こったNonmarketingが絡む事例を取り上げていることだ。5th Editionは2006年に発行されており、Googleが直面している問題なども取り入れており最新事例の取り込みも欠かしていない。

値段は多少高いが価値ある本だと思う。どうやら日本語版は発行されていないようです。この本の中には"Japanese Culture"との題名で日本社会の特異性が述べられているのに残念です。
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