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STANFORD GSB留学記
西海岸のエスタブリッシュメントの中で過ごし得る知見や身の回りで起こる出来事を読者と共有していきたい。授業内容、クラブ活動、シリコンバレーのコミュニティー、等盛り沢山の内容を掲載します。
戦略経営論
冬学期のコア科目の一つである"戦略経営論”は自分にとってもフレッシュな科目である。前歴にて数多くの国際入札を経験し、各プロジェクト毎に戦略を構築していたのだが、戦略経営の授業にて学ぶ程 奥深いものではない。如何に今迄自分が戦略に必要なフレームを欠いていたかが分かり、その分授業内容がフレッシュである。

コア科目の名前は"Strategic Leadership"でINTELがDRAM事業を撤退して、マイクロプロセッサー事業に移行する際のINTEL内部での葛藤に熟知している教授であり、(おそらく世界一長いビジネス関連の)ケースである"Strategy is Destiny"で有名である。正直、HBS(Harvard Busiess School) のマイケル・ポーターの戦略論を更に噛み砕いただけの論法にもみえるが、スタンフォードでの人気は高い教授だ。

1回目のクラスのリーディング・アサインメント(予習)はHBSのマイケル・ポーターが1996年に書いた"What is Strategy?"である。約10年前であるがポーターは、当該ケースの中で

"Managers must clearly distinguish operational effectiveness from strategy. Both are essential, but the two agendas are different. The operational agenda involves continual improvement everywhere there are no trade-offs. Failure to do this creates vulnerability even for companies with a good strategy. The operational agenda is the proper place for constant change, flexibility, and relentless efforts to achieve best practice. In contrast, the strategic agenda is the right place for defining a unique position, making clear trade-offs, and tightening fit"

と言っている。

1970~1980年にかけて日本は営業効率をあげてグローバルな革命を起こした。日本企業は全体的な品質管理・運営コストの向上により圧倒的なコスト・品質面にて優位性を保った。しかし、営業効率について事業の運営コストの効率化は、利益に貢献するが、他企業にも模倣しやすいもので、持続的な競争優位を保つ事は難しい。営業効率のみに依存して戦略的ポジショニングを作っていない日本には”戦略が無い”と言い放っている。

昨日のニュースで"トヨタの生産台数が世界一となった”とあった。日本人としてはうれしいニュースであり、又、執拗なまでに運営コストの効率化に拘っている企業が独特なポジショニングを確立できる事を証明してくれたと考え、同じ日本人としてうれしい。昨日はマイクロソフトのヤフー買収の話でアメリカは盛り上がっていたが、マイブームは異なる日本企業のニュースだった。

しかし、戦略論にのみならずマーケティングにおいてアメリカから学ぶ事は多い。昨年11月に帰国した際に購入した日本語版の”戦略経営論”はお勧めである。スタンフォード大学ビジネススクールの戦略コースにて教鞭をとっていた教授が講義ノートの集大成である。

戦略経営論戦略経営論
(2002/07)
ガース サローナー、ジョエル ポドルニー 他

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僕の目から見て、日本の企業の多くには戦略、特に長期的な視点からの戦略が欠けている。
最近、戦略コンサルの方と話す機会が多くなっているが、実務に携わっている彼らも、日本企業の現状に関しては同じ事を言っていた。社内に居ると見えないが、第三者的な視点、海外に住んでいる人からの視点では明確にこのように見えると思う。

日本企業が駄目だ、と言っている訳ではなく、日本企業は更に世界をリードできるはずだとの意見である。日本は良いリソースを持っている。リソースは人であり技術であり製品である。長期的なビジョンにたって戦略が構築できない、もしくは周囲環境を十分に理解出来ないでグローバル市場にて太刀打ちできない。国内の競合者に焦点を当ててグローバルな視点での競合者の動きに対応できていない。

僕は日本が好きだし、日本人が好きだ。いろんな人種に会ってきたが、仕事のみならず私生活に関わる作業に関して比較してみても、平均的な能力、効率性は圧倒的に勝っている。但し、情報の共有性、情報の発信能力は改善の余地が有るし、長期的にポジショニングを維持できるだけの戦略を構築できる能力にも改善の余裕はあると思う。

日本経済を元気にさせる為にも、授業から多くのTAKE AWAYをして効率的にアクションに繋げたい。
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