fc2ブログ
STANFORD GSB留学記
西海岸のエスタブリッシュメントの中で過ごし得る知見や身の回りで起こる出来事を読者と共有していきたい。授業内容、クラブ活動、シリコンバレーのコミュニティー、等盛り沢山の内容を掲載します。
言葉の表現
マーケティングのクラスの中間試験は、スタディーグループによるレポートの提出である。マーケティングに関連するケースが3つあり、その中の1つを選びマーケティングの観点から提案書を作成する。与えられたケースは、①ランドローバーの北米戦略、②シスコシステムの直接販売戦略、③ケンブリッチソフトウェアの販売戦略、の3つである。

面白い事に9つあるスタディーグループの殆どはランドローバーを選んでいる。マーケティングを行なうのであれば自分達が身近に感じているものの方がレポートにし易いとの直感的な要素があるのだと思う。我々のチームは、上記の情報を得て、敢えてシスコシステムのケースを選んだ。

シスコ・システムズは1984年にスタンフォード大学のスタッフにより設立された。マルチプロトコルルーターを発明し商業化することが設立当時のビジネス・モデルだったが、驚く事に、このビジネスモデルは74社以上のベンチャーキャピタルから却下された経緯があるらしい。シスコ・システムはITブーム真っ只中の2000年にはマイクロソフトやGEを押さえ、時価総額US$500BILの会社となった経緯を照らし合わせると、以下に当時の投資家がIT企業に対する正当な評価が出来ていなかったのか明白だ。

ネットワークの効率性を向上させるコンポーネントであるスイッチとルーターをコアビジネスとして成長した企業らしいのだが、効率性を表現する為に次のような英語があった。

"Swithes increase the efficiency of networks by reducing traffic and the number of collisions of data headed in opposite directions, much as a system of on-ramps and off-ramps in a highway cloverleaf is more efficient than and intersection."

感覚的には通常の交差点よりも効率性の良い交通システムがあり、ネット上でのスイッチやルータも同じような機能を果たす、との意味だと容易に分かるが、気になったので"cloverleaf crossing"を辞書で調べてみた。 "クローバー型交差点” とある。

頭の中でクローバーの葉を思い浮かべるが、”クローバー型の交差点”が全く想像つかない。結局ネットで写真付きの説明書を見て納得。(クローバー型交差点の写真:Cloverleaf Crossing)
要は単純な”立体交差点”確かに無理をすればクローバーのような形をしている。自分の想像力の足りなさと言うか、フレキシビリティーの無さに嫌気を感じる一瞬である。

この出来事を通して、昔スキー学校でインストラクターをしていた時の出来事を思い出した。プルークボーゲンといってスキーの初心者に大切な滑走方法があるが、通常我々は、”スキーの板をハの字にしてください”と言って教えている。殆どの生徒は問題なく滑走してくるが、何回言っても中々”ハ”の字にしてくれない生徒がいた。なぜかスキーをしているときに体をネジって滑ってくる。

仕方なく近寄って、”ハの字”ができない理由を聞いてみた。その生徒曰く、”先生、スキーしながら”は”の字は無理やわぁ~” どうやらカタカナの”ハ”でなく、ひらがなの”は”を滑走中に実現しようとしていたらしい。しばらく笑いが止まらない出来事だった。どう考えても”は”の字と理解する生徒が信じられなかったが、当時は、とんねるずの”みなさんのおかげです”でモジモジ君が大流行だったので仕方なかったのかもしれない。

日本人同士の会話に飛び切り日本語のできる海外の人が”全く理解出来ない”という場合は大抵の場合において”Common Understanding"の違いが理由であることが多い。僕が米国に留学している際に時々感じるアメリカ国内では当然の常識を自分が知らない際に困るのと同じである。

おそらく立体交差点やプルークボーゲンも同じ事なのだろう。自分では他の人が当然知っていると思う事が、そうでない場合に理解の不一致が起きる。国際化が進む中で、この現象は多く起こるのだと思う。コミュニケーションの難しさの一環だろう。
スポンサーサイト



copyright © 2005 STANFORD GSB留学記 all rights reserved.
Powered by FC2ブログ.