STANFORD GSB留学記
西海岸のエスタブリッシュメントの中で過ごし得る知見や身の回りで起こる出来事を読者と共有していきたい。授業内容、クラブ活動、シリコンバレーのコミュニティー、等盛り沢山の内容を掲載します。
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代替エネルギー
渡米した当初から共にエネルギーの将来に関して語り合っているインド人のシャンカーと一緒にリサーチプロジェクトを行っている。春学期のみ限定で、自分が行いたいプロジェクトに適した教授を探し出し、教授からゴーサインが出れば行える。クラス番号が”S390”なので、GSB仲間同士の会話では”スリーナインティー”と参照されている。

プロジェクトの題材は、渡米前から興味のある”代替エネルギー”だ。特にベイエリアに存在する約30の太陽発電のスタートアップ(ベンチャー企業)に興味があり調査している。当方が学生なので、先方も何の防御も無く情報を提供してくれる。本日は、エネルギー効率ではスタンフォード大学の権威であるJames L. Sweeney教授に時間を割いてもらい30分ほど意見交換(と言っても殆ど聴講に近かったが)を行った。スタンフォード大学のManagement Science and Engineering(通称MS&E)の教授だ。

代替エネルギー、つまり地球に優しいエネルギー発電を牽引する力は、正直教授でもはっきりとした回答は無いという。もし3つに絞るとしたら①オイルプライス、②地球環境問題、③代替エネルギー技術革新、だとの事である。

アメリカにて必要となるエネルギーの40%は海外から輸入するCrude Oilに頼っている。その殆どは輸送用(特には車)に使用するという。金額にしてみると、$120/バレル x 4.6 billionバレル = $550 billion/yearの金額である。この金額はアメリカのGDPの3.8%に値し無視できない数値。単純にバレル当たりのオイル価格が$10ドル変化するとGDPに0.3%同等の打撃となる。

一方で世界のオイル・ガスの埋蔵量比較をするとサウジアラビアとイランが3兆バレル、それについで1兆バレル強をロシア、イラク、カタール、クウェート、ベネズエラが保有している。米国No.1のメジャーであるExxonMobilは230億バレルと埋蔵量超大国との差が明確であり、エネルギーのセキュリティー問題とパワーバランスの駆け引きがあることが分かる。

オイルプライスは留まるところを知らずに上昇している。日本でもガソリンプライスが170円台を越えるとのニュースも聞いており身の回りでも物価上昇や燃料価格上昇が私生活に影響を及ぼしている。アナリストの統計だと2009年のオイル価格は100~150$/バレル近辺で推移するらしく200$/バレルに到達する確立は10%未満と少ないらしいが、あくまでも確立の話である。2003年1月は30ドルだったオイルプライスが右肩上がりに増え続けている。特に2007年1月以降の価格上昇が顕著だ。

EIAの統計で、米国内のエネルギー燃料別比較がある。石油40、石炭23、天然ガス22、原子力8、水力3、バイオマス3とある。単位はQuadrillionと天文的単位(10^14, 千兆)である。原子力発電が奨励されていない米国において、石油・石炭・ガスの比率は高い。又、上記にも述べたように石油エネルギーの殆どは自動車燃料との事である。

上記数字と比較した"Renewable Energy"の数字を聞いて愕然とした。単位は同じままQuadrillionである。まずは地熱0.3、風力0.26、そして僕が最も期待している太陽光はというと、たったの0.07である。将来的に、化石燃料から代替エネルギーへ転換する時期が訪れると言われている。

とは言え、米国内のベンチャーキャピタル投資のレコードを見ても確実に右肩上がりで投資金額が増えているのは代替エネルギーである。小さな種が大樹となる。その為には、しっかりと種を育てる土壌が必要だ。その土壌を創る為には、情熱的な起業家、その起業家を支えるエンジェル投資、ベンチャーキャピタル投資、投資銀行による大型投資が必要となる。投資規模が拡大するに従い、優位劣勢の法則で、高い技術(もしくは、それをもつすばらしい経営陣を持つ会社)が生き残り成長していく。

このアイデアとヒトとカネの融合こそが米国経済の醍醐味であり、上記の数字の膨大な格差も急激に逆転していくだけの予感はする。”種を撒いて、手塩にかけて育てる” アジア人にとっても得意な分野のように感じるのは自分だけだろうか。。。
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バイオ燃料
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”バイオ燃料は環境に優しい” 殆どの人が信じている言葉である。世の中の誰かの目論見でメディアを通して情報を発信し、その真偽を確実に見極めないうちに一般市民の中で"常識”となってしまう例だと思う。

本来、食品として生産されていた農産物がバイオ燃料として市場で売られている。米国政府は2020年までに、360億バレルの国内バイオ燃料生産の義務化を決定し、その内の150億バレルは”とうもろこし”から抽出するエタノールと義務づけている。

この”とうもろこし”に注目である。

英語ではとうもろこしを"CORN"というが、”MAIS"とも呼ぶ。このMAISの発音を用いて、アメリカ国家が発令したバイオ燃料に関わる法的規制を ”MAZE(迷路)”と呼んでいる人もいる。つまり、”なぜ とうもろこしから生成されるエタノールを奨励し義務化するのか?”との大きなクエスチョンマークが迷宮化する訳である。単純に言えば、そのような結果になった背景には米国国内の強大な力が存在することを示唆する。食料連鎖にて数字を見てみると

2 pounds of corn = 1 pound of chicken
4 pounds of corn = 1 pound of pork
8 pounds of corn = 1 pounds of beef

となるらしい。但し、トウモロコシから生成されるエタノールを定量的に表すと、1エーカー当たり440ガロンのみらしい(150 corn bushel per acre, 2.8 gallon ethanol per one corn bushelからの計算) トウモロコシから抽出されるエタノールは非効率であるので、エタノールを精製することにより上記の方程式により鶏肉、豚肉、牛肉の生産量が減り物価上昇に繋がるとの流れだ。

技術開発が行われている食料ではないセルソースからのエタノール生成は2,000gallon/acreと圧倒的に生産効率が良いし、現状の技術を使ってではブラジルが力を入れているサトウキビからのエタノール生成は非常に効率が高いらしい。但し、ブラジルのみならず海外から輸入されるエタノールには54cent/gallonの輸入税が課されアメリカのエタノール市場での競争力がそがれる仕組みが作られている。守られる市場、守られる国民、守ることにより支持を集める政治家。。。

効率はさておき、地球環境問題にサトウキビが貢献するか否かの数値が多くの機関から出されているらしいが、サトウキビからのエタノールが"二酸化炭素排出を30%削減"に対して、トウモロコシからのエタノールのそれは”ゼロ”らしい。迷宮入りが意図的であるにせよ、こんな対応でよいのか非常に疑問である。

世界的な食糧危機に対処するため、6月3-5日にローマで「食料サミット」が開かれる。飢餓に苦しむ発展途上国を救済する為の短期的措置、穀物などを原料とするため価格高騰の一因と指摘されるバイオ燃料の生産に関する国際指針づくりを中・長期的に検討していくらしい。

世界規模でバイオ燃料づくりに関する指針の決定が期待されており、当該食料サミットでの決定は、7月のG8サミットでの議論の土台ともなるらしく非常に注目されている。

マーケットとノンマーケットの力が融合したバランスの取れた指針に期待したい。

経営者になる経営者を育てる
”日本企業は潜在成長力が十分あるのに、なぜ、それが生かせないのか?” これは他国に居る際に海外の方から質問されるのみならず、海外に長期滞在すると第三者的立場で日本人である自分が疑問に思うことである。

日本企業はヒト、モノ、カネの資産においては世界のどの国と比較しても劣らない。従業員の質、仕事効率、技術水準どれをとっても非常に高いレベルである。

となると日本企業の業績が低迷している原因はいずこに?


経営者になる 経営者を育てる経営者になる 経営者を育てる
(2005/06/10)
菅野 寛

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そのような疑問を解決すると共に、今後の日本の経営者のありかたや育て方をコンサルの視点より説いていく本である。ビジネススクールでは経営に色々と学ぶが、コンサルが書いた本を読むと枠組みが違ったり、分析が深いことに気づく。大企業が億単位のフィーを払ってでもコンサルの助けが欲しい理由が分からないでもない。
BUSINESS AND ITS ENVIRONMENT
昨日紹介したNonmarketingの授業で使っているテキストです。

Business And It\'s EnvironmentBusiness And It\'s Environment
(2005/08/17)
David P. Baron

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スタンフォード大学のDavid P. Baron教授が書いた本。

この本で取り扱う"Nonmarket Environment"とは社会・政治・規制等からなる環境を指し、通常のマーケティング戦略ではカバーされない団体や力が登場します。

一言で言えば、”経済的観点のみならず、政治的・法律的・倫理的観点を加えて企業の経営管理を強化していく為に必要な知識を習得でき、戦略構築能力を向上させる本”だと思います。

過去に起きたNonmarketing関連の事件を取り上げ、Nonmarketingが企業にとって如何に大切かを説く。逆に言えば、マーケティングにのみ力を注ぎ、Nonmarketing戦略を疎かにしたがために起こった事象を、金銭的な打撃や企業イメージの低下等の悲惨な結末をもって説明している。事例が数多く掲載されており、実際の企業名が出てきます。

数多くのフレームワーク、例えば、Issue Life Cycle, Media Theory, Wilson-Lowi Matrix, Distributive Politics Spread sheet等を使い、Contextを細分化しつつ、Market外にて企業に影響を与える団体や力を分析します。

この本の更に良いところは、数多くの実際に起こったNonmarketingが絡む事例を取り上げていることだ。5th Editionは2006年に発行されており、Googleが直面している問題なども取り入れており最新事例の取り込みも欠かしていない。

値段は多少高いが価値ある本だと思う。どうやら日本語版は発行されていないようです。この本の中には"Japanese Culture"との題名で日本社会の特異性が述べられているのに残念です。
お辞儀
スローンの春学期のコアコースにNon-marketingというクラスがある。

実際のビジネスを経験している人なら幾度と無く経験するMarketing以外の力を分析するフレームワークの取得、分析を元に如何に上手にその力と付き合うかをTake Awayする授業だと認識している。例えば、アジア諸国にてナイキやリーボック等が過去に行った雇用問題(強制労働、児童労働、低賃金労働、長時間労働)、シティバンクがNGOであるRAN (Rainforest Action Network)により血祭りに上げられた"環境破壊プロジェクトに対する融資・投資”の事例、メジャーのシェルがNGOであるグリーン・ピースに屈した"北海油田での掘削施設の廃棄(Brent Spar)”の事例等がケースとしてあげられる。

本日の授業の題材は”賄賂”だった。アジアのみならず南米やヨーロッパの学生が各国で起きた事例を述べながら、非常に白熱した議論を展開した。統計的には、政治腐敗と国民一人当たりのGDPの低さが比例関係にあるようだ。つまり、一人当たりの稼ぎが少ない国ほど堕落する事を反映している。欲のある生物である人間であれば当たり前の法則だが、それだけに儚さを感じる。

授業中に紹介された世界地図は非常に興味深い赤い程CPI(。Corruption Perception Index )が高いことを意味するのだが、世界中真っ赤だ。調査を行ったNGOであるTransparency Internationalによれば最もクリーンなのは北欧のようだ。

クラスメートによるプレゼンテーションがあり、各国で起きた汚職事件が紹介された。日本での汚職事件も数件紹介された。その際に(日本社会における) ”公の場での謝罪風景” が映像にて紹介され、(笑いと共に)”将来、日本にて万が一のケースには是非とも深々とお辞儀してください”と。。。

しかし、経営陣の知らない範囲で汚職がおきても責任を取るのは経営陣。実は笑える代物でもなく、非常に考え深い事象だ。

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いずれにせよ、”お辞儀”。。。日本人では当たり前と思っていても海外の人には異様に映るらしい。長い年月を掛けて出来上がった文化の一つであるとしみじみと感じた。(BGMはどうかなぁ~と思いますが。。。)
カウントダウン
卒業式まで丁度 1ヶ月となった。

プログラム開始の秋学期から3学期連続でYEARBOOKの担当(日本語的には”学級委員”)をアルゼンチンから来ているアレハンドロと2人で担当していたが、昨晩ほぼ徹夜状態にて完成させた。笑いと涙を誘う大作が完成したと内輪で話している。
(最初のページのみネットで閲覧できます→ Yearbook Class 2008)

思いでは時間がたつにつれて深まると信じている。

55人の仲間達と、この場所で過ごした時間。。。。今、この瞬間で予感している”将来感じるであろうノスタルジアな感情”よりも更に深く意味合いのある感情が数年後、もしくは数十年後に実現するのだと信じて計200ページの冊子に写真のみならず文章やイラストを詰め込んだ。

55人それぞれのエネルギーが学校生活・学校行事のみならず卒業後の身の振り方に注がれている。自分自身も就職活動を継続して行っており、先週末は1泊3日の過酷なスケジュールにて日本へ一時帰国してジャスダック上場でメディアを騒がしているネット企業幹部と3者面接を終わらせた。

泣いても笑っても1ヶ月。。。



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