
6月中旬に卒業してから、早いもので2ヶ月超の時間が経過しました。
留学前にお世話になった方々の挨拶、1年離れて生活していた家族との海外旅行や国内旅行などビジネスマンでは味わえない長期の夏休みも過ごさせてもらいました。もちろん、暑い夏にスーツを着て多くの企業を訪問し就職活動も行いました。
留学前にお世話になり、僕の人生のメンターでもあるカウンセリング会社の経営者の方からのお願いもあり、Stanford GSBでの1年を振り返り、文章にしてみました。参考になればうれしいです。
以下、文章です。
34歳という年齢で10ヶ月間集中して(仕事以外で)自分がやりたい事に費やせる機会に恵まれる人は少ないと思います。企業で僕と同じ年齢層であれば"中堅"として多忙な毎日を過ごしている人が多いと思います。退職して、家族のサポートを得ながら、ミッチリと経営学習得に時間を費やせた自分は非常にラッキーだと思います。社費学生と異なり縛られるものが無い環境に置かれた事もあり、"学ぶ"ことに全力投球出来ました。逆に、私費学生なので、次なるキャリアの扉を自ら開く為に沢山の時間とエネルギーを使いました。
留学中の10ヶ月を振り返ってみたいと思います。総合商社でも花形であるプラント・ビジネスにて12年間超、アジア諸国での多くのプロジェクトを通して実績を積み、正直、自信満々の自分が米国へ留学しました。そこで世界から集まった計55人のスローン・フェロー達との切磋琢磨、頭脳明晰なスタンフォード大学の学生達との交流、著名な教授陣の講義、大学主催のイベントにて出会う著名人達、スタンフォードを取り巻くコミュニティーとの交流、そのような出会いの中で生まれた友情や絆。これらは、自分の大切で、かけがえのない資産です。
正直、今迄の人生において、自分が居る輪の中で自分が最も劣っていると思ったことは一度もありませんでした。但し、狭き門を潜ってきたスタンフォード大学の精鋭達の中での自分は異なりました。精鋭達と勉学を共にしていると、正直、自分自身が凡人と思えたこともあったし、周囲の頭脳の明晰さの為に自己嫌悪に落ちいった時期もありました。非常に辛い経験であり、貴重な経験でした。おそらく渡米しなければ経験できなかった事だと思います。逆にそのような状況がバネとなり、人一倍勉学に時間を費やす原動力となりました。言葉の壁もネイティブと積極的に交流する事により数ヶ月で克服し、そのような辛くて豊かな環境を通して、自分の視野も広がり、自分も成長しました。仲良くしているクラスメートからも"この10ヶ月で非常にバランスの取れた人材に成長したと思う。他の生徒と比べて特にそう感じる"と言ってもらえました。
ビジネススクールでは、経済学、マーケティング、会計学、組織論、ファイナンス、戦略論等の基礎知識を叩き込まれます。又、専門知識を深める選択科目があり非常に広範囲な学ぶプロセスがあります。経営者の立場から適切な意思決定が行なえるように、基礎知識を習得すると共に、スタディーグループや少人数で行なうプロジェクトを通してコミュニケーション能力やリーダーシップ能力の向上、自分のポジショニングの確認などが行なえます。それに加えて、スタンフォード大学の土地柄、シリコンバレーで成功している起業家やサンドヒル・ロードに拠点を持つベンチャーキャピタルの人々が多く学校を訪れました。実際に僕が冬学期に受講したJohn Glynn教授の"Entrepreneurship and Venture Capital"の講義では、授業で使われるケースに登場する人物が毎回クラスでスピーチをして、ケースに書かれていない裏話・成功体験・失敗談等を Q&Aを通して語ってくれました。数十年掛けなければ会得できないビジネスのエッセンスを短期間で、且つビジネス界のトップレベルの方々から直接教わる事が出来るわけです。
ビジネススクールは多様性が売り物であり、その多様性を更に強めた形で生徒達は卒業するのだと思います。キャリア・チェンジをする為に以前と異なるスキルを強みに卒業する人も居れば、今まで実践で培ったスキルに学問的知識を習得して更に強いバックグランドを持って卒業する人も居ます。
10ヶ月を通して多くを学びましたが、その中でも自分の中での大きなTake Awayは、"点と点を繋ぐ"とのコンセプトと"直感"の大切さの2点だと思います。留学中や卒業後も、この2点を気にしながら生活するようになりました。"繋ぐ"事は知識や経験が豊富である程、多くの選択肢を考える事が可能です。多くの事に打ち込み経験を積めば、些細な事でも大きなものに育てる事が可能になると思います。多くのリソースを繋ぎ、アイデアを繋ぎ、時間を繋いで他者を凌駕する価値を創造し、そして、それを成長させていくとの意味です。多くの書物を読み、多くの人と討論し、多くのケースを読む事で"点と点を繋ぐ"能力や習慣が一段と高められます。一つ一つの些細な事でも当事者意識をもって取り込む姿勢も大切です。又、その"繋ぐ"行為を行なう際には"直感"が必要となると思います。私は"直感"を"状況を正確に把握し、頭脳回路にて可能な限りのロジカル・ツリーを描き、ロジカルに多くのパターンを検証し、最適な選択肢を絞り上げる行為を反射神経的に行なう"と訳します。もちろん、直感が全てだとは思っていませんが自分の素直な思考を映し出していると信じているので直感を信じて行動を起こし、結果に結びつくまで継続することが大切だと思います。
ビジネスを行なう際に"社会への還元"が大切であることも学びました。これはビジネススクールのロバート・ジョス学長が卒業式の際に卒業生に贈ってくれたメッセージにも込められていました。実際のビジネス界では、組織の中に埋もれて短期的な視野に汚染されてしまうと中・長期的なビジョンが曖昧となり、継続的に戦えるプランの捻出が難しくなる、との事である。今後のビジネスが益々グローバル化する中で"社会への還元"は企業の戦略の決定的な要素だと思います。
ビジネススクールで常に行なっていた"常にチャレンジ"は今後も継続していこうと思います。苦しい10ヶ月を乗り切った結果、どのような苦しい状況・難しい問題でも適切に対応することが出来るとの自信が生まれました。常に現状に満足せずに、ゴールは高く設定して、多少痛くても自らにプレッシャーをかけて、リスクも果敢に取りにいく。その為にも、あらゆる方面から状況を分析し、自分の取れるポジションを明確とし、市場を読み間違えずに意思決定を行っていきたいです。
物価高騰による世界的インフレと景気後退の進行により世界的なスタグフレーションが起ころうとしています。米国でも大規模な雇用削減等が行なわれています。そのような厳しい経済状況であるからこそ優れた経営が求められます。是非とも多くの人から吸収した知識を持って、自らの知恵を絞り、世界や日本へ貢献したいです。
留学前にお世話になった方々の挨拶、1年離れて生活していた家族との海外旅行や国内旅行などビジネスマンでは味わえない長期の夏休みも過ごさせてもらいました。もちろん、暑い夏にスーツを着て多くの企業を訪問し就職活動も行いました。
留学前にお世話になり、僕の人生のメンターでもあるカウンセリング会社の経営者の方からのお願いもあり、Stanford GSBでの1年を振り返り、文章にしてみました。参考になればうれしいです。
以下、文章です。
34歳という年齢で10ヶ月間集中して(仕事以外で)自分がやりたい事に費やせる機会に恵まれる人は少ないと思います。企業で僕と同じ年齢層であれば"中堅"として多忙な毎日を過ごしている人が多いと思います。退職して、家族のサポートを得ながら、ミッチリと経営学習得に時間を費やせた自分は非常にラッキーだと思います。社費学生と異なり縛られるものが無い環境に置かれた事もあり、"学ぶ"ことに全力投球出来ました。逆に、私費学生なので、次なるキャリアの扉を自ら開く為に沢山の時間とエネルギーを使いました。
留学中の10ヶ月を振り返ってみたいと思います。総合商社でも花形であるプラント・ビジネスにて12年間超、アジア諸国での多くのプロジェクトを通して実績を積み、正直、自信満々の自分が米国へ留学しました。そこで世界から集まった計55人のスローン・フェロー達との切磋琢磨、頭脳明晰なスタンフォード大学の学生達との交流、著名な教授陣の講義、大学主催のイベントにて出会う著名人達、スタンフォードを取り巻くコミュニティーとの交流、そのような出会いの中で生まれた友情や絆。これらは、自分の大切で、かけがえのない資産です。
正直、今迄の人生において、自分が居る輪の中で自分が最も劣っていると思ったことは一度もありませんでした。但し、狭き門を潜ってきたスタンフォード大学の精鋭達の中での自分は異なりました。精鋭達と勉学を共にしていると、正直、自分自身が凡人と思えたこともあったし、周囲の頭脳の明晰さの為に自己嫌悪に落ちいった時期もありました。非常に辛い経験であり、貴重な経験でした。おそらく渡米しなければ経験できなかった事だと思います。逆にそのような状況がバネとなり、人一倍勉学に時間を費やす原動力となりました。言葉の壁もネイティブと積極的に交流する事により数ヶ月で克服し、そのような辛くて豊かな環境を通して、自分の視野も広がり、自分も成長しました。仲良くしているクラスメートからも"この10ヶ月で非常にバランスの取れた人材に成長したと思う。他の生徒と比べて特にそう感じる"と言ってもらえました。
ビジネススクールでは、経済学、マーケティング、会計学、組織論、ファイナンス、戦略論等の基礎知識を叩き込まれます。又、専門知識を深める選択科目があり非常に広範囲な学ぶプロセスがあります。経営者の立場から適切な意思決定が行なえるように、基礎知識を習得すると共に、スタディーグループや少人数で行なうプロジェクトを通してコミュニケーション能力やリーダーシップ能力の向上、自分のポジショニングの確認などが行なえます。それに加えて、スタンフォード大学の土地柄、シリコンバレーで成功している起業家やサンドヒル・ロードに拠点を持つベンチャーキャピタルの人々が多く学校を訪れました。実際に僕が冬学期に受講したJohn Glynn教授の"Entrepreneurship and Venture Capital"の講義では、授業で使われるケースに登場する人物が毎回クラスでスピーチをして、ケースに書かれていない裏話・成功体験・失敗談等を Q&Aを通して語ってくれました。数十年掛けなければ会得できないビジネスのエッセンスを短期間で、且つビジネス界のトップレベルの方々から直接教わる事が出来るわけです。
ビジネススクールは多様性が売り物であり、その多様性を更に強めた形で生徒達は卒業するのだと思います。キャリア・チェンジをする為に以前と異なるスキルを強みに卒業する人も居れば、今まで実践で培ったスキルに学問的知識を習得して更に強いバックグランドを持って卒業する人も居ます。
10ヶ月を通して多くを学びましたが、その中でも自分の中での大きなTake Awayは、"点と点を繋ぐ"とのコンセプトと"直感"の大切さの2点だと思います。留学中や卒業後も、この2点を気にしながら生活するようになりました。"繋ぐ"事は知識や経験が豊富である程、多くの選択肢を考える事が可能です。多くの事に打ち込み経験を積めば、些細な事でも大きなものに育てる事が可能になると思います。多くのリソースを繋ぎ、アイデアを繋ぎ、時間を繋いで他者を凌駕する価値を創造し、そして、それを成長させていくとの意味です。多くの書物を読み、多くの人と討論し、多くのケースを読む事で"点と点を繋ぐ"能力や習慣が一段と高められます。一つ一つの些細な事でも当事者意識をもって取り込む姿勢も大切です。又、その"繋ぐ"行為を行なう際には"直感"が必要となると思います。私は"直感"を"状況を正確に把握し、頭脳回路にて可能な限りのロジカル・ツリーを描き、ロジカルに多くのパターンを検証し、最適な選択肢を絞り上げる行為を反射神経的に行なう"と訳します。もちろん、直感が全てだとは思っていませんが自分の素直な思考を映し出していると信じているので直感を信じて行動を起こし、結果に結びつくまで継続することが大切だと思います。
ビジネスを行なう際に"社会への還元"が大切であることも学びました。これはビジネススクールのロバート・ジョス学長が卒業式の際に卒業生に贈ってくれたメッセージにも込められていました。実際のビジネス界では、組織の中に埋もれて短期的な視野に汚染されてしまうと中・長期的なビジョンが曖昧となり、継続的に戦えるプランの捻出が難しくなる、との事である。今後のビジネスが益々グローバル化する中で"社会への還元"は企業の戦略の決定的な要素だと思います。
ビジネススクールで常に行なっていた"常にチャレンジ"は今後も継続していこうと思います。苦しい10ヶ月を乗り切った結果、どのような苦しい状況・難しい問題でも適切に対応することが出来るとの自信が生まれました。常に現状に満足せずに、ゴールは高く設定して、多少痛くても自らにプレッシャーをかけて、リスクも果敢に取りにいく。その為にも、あらゆる方面から状況を分析し、自分の取れるポジションを明確とし、市場を読み間違えずに意思決定を行っていきたいです。
物価高騰による世界的インフレと景気後退の進行により世界的なスタグフレーションが起ころうとしています。米国でも大規模な雇用削減等が行なわれています。そのような厳しい経済状況であるからこそ優れた経営が求められます。是非とも多くの人から吸収した知識を持って、自らの知恵を絞り、世界や日本へ貢献したいです。
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