STANFORD GSB留学記
西海岸のエスタブリッシュメントの中で過ごし得る知見や身の回りで起こる出来事を読者と共有していきたい。授業内容、クラブ活動、シリコンバレーのコミュニティー、等盛り沢山の内容を掲載します。
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最後の出張
例によってブルネイ・ダラッサラーム国のプロジェクトで出張。

7月15日の日曜日の早朝便でシンガポール経由ブルネイ行きだった。台風の影響で大幅に成田空港到着が遅れ、JALのカウンターではビジネスクラス満席との事。だがラッキーな事にファーストへの無料アップグレードを獲得。機内では大好きな焼酎”兼八”をロックで数杯頂いた。前回の出張時もシンガポールからの帰国便は無料アップグレード。どうもラッキー続きで気持ち悪い。誰か後ろで退職前の僕を驚かせようとアレンジしているような気もした。

ブルネイへは夜中の1時に到着。いつも普通に会っている人も場所も違って見える。これで最後だとの気持ちがそうさせているのだろう。

この国は色々な思い出がある。思い返せば、1997年秋のクアラルンプルで開催されたエネルギーコンファレンス。偶々、横に座った人がブルネイ電力局の局長さんでブルネイの存在を初めて知った。話し込んだ結果、来年、国家発電プロジェクトの国際入札があるから参加しなさいとの局長の言葉。僕のブルネイとの付き合いが始まった。

社内でも、殆ど知られていない国。上司には”数十年前にブルネイ国の発電所建設の入札に参加したが何も分からないままに他社に落札された。そんな国のプロジェクトをやっても無駄だろう”と言う人さえ居た。

しかし、当時の課長と大先輩の太田氏の3人で表敬訪問から開始した。金持ちの国なので、ブルネイで手に入らない珍しいものを持っていこうと銀座の果物屋で購入した高級な桃やメロンを御土産として持参したりもした。出張を重ね、我が社のみならずパートナーに選んだ日立のプレゼンテーションを行い、客先との良好な関係を構築し、我々のプレゼンスも理解させ、入札では見事”一番札”を取り、2000年に約120億円のガドン発電所を受注した。正直、社内の反対派勢力に対して”受注”の報告は気持ちが良かった。

2000年冬に現在建設中のトゥートン発電所の国際入札発表があり連続受注をモットーとして注力。7社が応札したが、結局、安価でオッファーが可能であるインド企業との一騎打ちであった。このクラスでは世界一の効率を誇る米国General Electric社(エジソンが創業者である時価総額世界トップクラスのコングロマリット)と協調して2001年6月に応札。中長期的な経済効果を盾にインド企業を撃沈させた。撃沈まで約2年の月日を要するしんどく且つ熾烈な戦いであった。

日頃昼飯を食べるキャンティーン、友人と時々飲みに行く隠れバー(イスラム原理主義の国なのでお酒はタブー)、宿泊ホテルから現場までの高速道路、現場の数百人のスタッフの完全に日焼けした顔、どれをとっても しばらくは御無沙汰になってしまう。ボロボロになるまで読みこんだ契約書、毎日の様に提出しているレターの山、どれもに自分の魂が入り込んでおり思いで深いものである。

今回の出張で300以上ある懸案事項のセトルを行ないクタクタとなり、感情に浸る時間も少なく済んだのは幸いであった。

プロジェクトは客先の理由により当初の予定より6ヶ月の延長。プラント完成は今年末となる。来年始めには、今建設中であるブルネイ最大級のプラントが完成し電力供給量も大幅に増える。

三菱重工が建設中であるメタノールプラントへの電力供給も心配無くなる。日本人が建設したブルネイ初の複合火力発電所で発電された電気が、日本企業が出資して建設するブルネイ初のメタノールプラントへ供給される。沢山の”日の丸”日本代表 がブルネイで頑張っている。

留学を終えてアジアに戻ってくる僕にとってブルネイに立ち寄る事は容易な事である。飛行機で飛び夜空から見るブルネイの町並みがより一層輝いている事を願い、ブルネイに”さよなら”を言った。何か胸の奥の方から込み上げて来るものがあった。

きっと、この国を愛していたのだと思う。だから、ここまで頑張れたのだと思う。この気持ちを忘れないように更に飛躍しようと思う。


2007年夏 人生の1ページにすばらしい思い出が残った。


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コメント
この記事へのコメント
城山三郎が生きていたら、小説にしたいと思うような話ですね。素晴らしい。
2007/07/20 (金) 23:51:26 | URL | AMO #-[ 編集]
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