
![]() | ハーバード・ケネディスクールでは、何をどう教えているか 杉村 太郎、丸田 昭輝 他 (2004/12) 英治出版 この商品の詳細を見る |
会社の先輩で、且つ留学準備予備校で門下生として共通する点を持っている方である渡辺和成さんが執筆を一部担当している本であり、興味があって購入した。
自分の将来の中長期的なゴールが環境ビジネスでの起業である事を渡辺先輩に述べたところ、ケネディスクールを紹介された。
公共政策大学院の設立構想は日本では未だ発展途上の段階であり(東京大学と東北大学が設立を決めたらしい)具体的なイメージを抱くのが日本人にとってはあいまいであるが、この本を熟読すれば実像を掴むことができる。
僕の周りにも大学院に行っても机上の空論で終わるから実戦で鍛えた方がよい、との方は多い。この大学院でも”知識はあくまでも現実世界に適用するために、もしくは現実世界をより良くする為に身につけるものだ”との強固な信念がある様である。
環境学の著名な研究者でありケネディスクールの教授でもあるウィリアム・クラーク教授の言葉で"idealistic about science and pragmatic about politics"との言葉が非常に心に響いた。つまり、科学的理想主義、政治的現実主義である。環境政策は科学的に有効であり同時に全当事者が受け入れられる現実性が要求されるとのことである。当り前のことであるが言うのに勇気がいる言葉である。
渡辺先輩の言葉を引用する。”ビジネスマンがビジネスだけを学べばよい時代は終わった。規制が特徴的な産業や公共投資が重要な業界において、同政府と対処していくのか。。。。”
もっともである。僕が1999年から香港に駐在して事業会社の出資者としてプロジェクト開発を行っていた総額1,200億円の台山石炭火力プロジェクトは、最終的に利権を中国の有力企業に売却して終わった。大きな要因は中国中央政府の規制の変更である。僕が会社人生で一番”規制”と“ビジネス”の密接な関係を感じた瞬間であった。
先日、国際基督大学の八代尚宏教授の講義を受けた際も、その密接さを強調していた。
人が規制を作る。完全な答えはなく時代の流れによって規制も変化すべきである。規制の緩和、強化を行う際にコンサバな人や利権を保有する人は反対するだろう。どの様にして、変化をハーモナイズさせるかは非常に力を要することであろう。
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